マネジメントが先か、ブランディングが先かをデザインしよう。

マネジメントが先か、ブランディングが先かをデザインしよう。

 

今回は、少し視点を変えてマネジメントが先か、ブランディングが先かについて考えてみたいと思います。
実際に賢い経営者ならば、小さく実験を繰り返してからフレームワークを作って本格的に経営に乗り出します。
あなたはどちらの側でしょうか?一緒に考えましょう。
現在の飲食店経営は非常に悩ましい局面に入ったと言わざる負えない。
高度成長期からの経営目線であれば、成長戦略によって力押しで組織を編成し売上至上主義にて運営してさえいればバカでも経営を維持し続ける事が出来たからです。

それが完全に破綻した事が誰の目にも明らかになりましたよね?

その好例が、あれだけ資金注入されていた『いきなりステーキ』に代表される力押し路線の飲食チェーンの大幅な撤退劇。。。

企業が存続し、成長していくには経営の目的・目標を達成させるために不可欠な戦略と組織が相互に整合性を持っていなければなりません。

戦略と組織に整合性がなければ、いくらそこに「人、金、モノ、時間」の経営の4要素を注ぎ込んでも経営目的や目標の達成は困難です。

 

マネジメントとブランディングの関係を考えることの重要性。

 

現在の社会情勢の中で、戦略だけに注視した議論をコンコンと重ねても答えなんて出ません。
逆に、try&errorの時代だからと言って当たり障りのないノウハウやマニュアル固めした組織を作って当たりを引きにいこーとすればerrorの山を積み上げるだけになりがちです。

過去の右肩上がりの人口の増加に伴った経済成長など期待できないのですから、リアルな社会情勢、近未来予測に向き合ったブランディングに合ったマネジメント、マネジメントに合うブランディングをデザインしないと、今後飲食企業が存続・成長など見込めません。

今、新進気鋭の資本家が飲食店で新規事業を立ち上げる際には、必ずマネジメントとブランディングをセットにして議論するはずです。

しかし、今までの緩い競争社会の中でどっぷり漬かりきった経営者はきっとこのような発想を持ちません。

ここに大きな穴がある事すら大半の飲食店経営者は気づいていないのです。
今一度、組織と戦略について0ベースで見つめなおすこと提案したい。

 

マネジメントとブランディングの関係「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」の意味。

 

「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」は、簡単にいえば、マネジメントがブランディングに先行するか、ブランディングがマネジメントに先行するのかの違いです。

とても盛り上がったラグビーなど戦略的・組織的に戦うスポーツでは、戦略と組織がバラバラでは個々の選手の能力が高くても勝利することは困難です。

勝つために必要な攻撃重視、守備重視などの戦略が先にあって、それを実現させるためにふさわしいフォーメーンション(組織)を考えるのが「組織は戦略に従う」です。

 

一方、攻撃能力に優れた選手が多いので攻撃的なフォーメーンションで、守備をおろそかにしても攻撃的に点をとる戦い方(戦略)を採用するという考え方が「戦略は組織に従う」です。

このように最低でも2軸での思考法があり、チャンドラー氏とアンゾフ氏が相対する理論を提唱しており、現在でも大きく議論される課題があります。

 

それでは、これらについて見ていきましょう。

 

チャンドラーの「組織は戦略に従う」の解説

戦略と組織について、最初に提起されたのは、経営学において世界的な権威であるアルフレッド・チャンドラー氏による「Strategy and Structure(1962年」においてです。
アメリカの成長企業4社の組織改革の事実をもとに「経営戦略に従って、組織構造も変革される」を導き出し、あの有名な「組織は戦略に従う」という考え方を唱えました。
マネジメントの権威でもあるピーター・ドラッカー氏も全面的に支援し、次のように述べています。

「組織構造は組織が目的を達成するための手段である。組織構造に取り組むには目的と戦略から入らなければならない。
これこそ組織構造についてのもっとも実りある洞察である。(「マネジメント」より)」

つまり、ドラッカーは組織は何のために存在するのでしょうか? 組織は組織が属するトップの戦略目的を達成するための手段として存在する。

組織は存在することが目的ではないので、組織をどうするかは、まず戦略が先行しなければならない。

そして、変化する環境に適応する戦略を策定し、その戦略を実行するために最適な組織にしていかねばならないという理屈です。

これが「組織は戦略に従う」です。

アンゾフの「戦略は組織に従う」の解説

事業拡大マトリクスなどで現在も企業経営に大きな影響力を持つイゴール・アンゾフ氏は、「Strategic Management(1979年)」において、「戦略は組織に従う」と提唱して世界的な反響を呼びました。

大企業は戦略優先で組織づくりをする場合が多いが、中小企業は戦略実行に限界があり、組織の力量に応じた戦略しか立案できない。

自らの力量を無視した経営戦略は机上の空論となってしまうケースが多いという理由です。

よーするに、戦略が組織の変革を求めても、組織には自己防衛する本質があることや各企業それぞれが持つ組織文化(企業文化)によって戦略がちゃんと遂行されないことから、立案する戦略の内容は組織に細心の注意を払って策定されなければならないとして「戦略は組織に従う」を提唱しました。

その後、J.B.バニー氏の「リソース・ベースト・ビュー(1991年)」(企業内部に蓄積される総合的なケイパビリティが競争優位の源泉である)という考え方などから拡がっていきます。

そして、ジム・コリンズ氏の「ビジョナリーカンパニー 2(2001年)」における「バスに乗せる人を最初に選び、その後に目標を選ぶ」という、人の能力を軸にした経営が重要である、という考え方に行き着いていくのです。

 

飲食経営では。。。
優先すべきは「戦略は組織に従う」、考慮すべきは「組織は戦略に従う」

 

このようにして大局的にある大きな軸である「組織は戦略に従う」と「戦略は組織に従う」は、どちらかが正しいとは結論づけられずに今日まで様々な経営者、コンサルタントに用いられてきました。

飲食経営の場合には現在マニュアルに支配された現場があり、その現場を取り仕切るマニュアル漬けのマネジメント層があり、長きに渡って盲目的に成長戦略にて様々な課題を後回しにしてきた結果、非常に一般国民から飲食店労働に対して悪い印象を与え続けてきた。

また自営業者や中小零細企業による経営が非常に多く乱立している業界だからこそ、余計にコンプライアンスに対しても後回しにされてきた感が強い。

結果、飲食業界で働く従業員にプロフェッショナル以上の人材が生まれにくく、組織は戦略に従う環境で力押しされてきた飲食業界は、業界全てで非常に苦しい展開に喘いでいる。

また、そんな状況にある業界にも関わらず、大企業だけでなく中小零細企業でもコミュニケーションも取れない外国人労働者を雇用し、更に悪化していく方向からシフトしよーとする動きすらまだ見えない。

マニュアルで雁字搦めにして育てた従業員に埋め尽くされた組織でまともな社内オペレーションが機能するわけがなく、経営を知らない烏合の衆を前に戦略を語ってもブタに真珠である。

 

なぜ飲食業界では「戦略は組織に従う」を優先すべきなのか?

「戦略は組織に従う」をまず優先すべき理由は、今の飲食シーンを良く見て頂いたら理解出来ると思うが、大手飲食企業が運営する飲食チェーンはどこもガラガラです。
ハッキリ言ってtry&errorが極まりすぎなのです。
むしろ、近くに出店してくれてありがとうと言いたくなるほど知恵を縛って組織を整えた飲食企業からするとボーナスステージに居る気分さえ得られる状況です。

もしかすると、大きく復活を遂げたマクドナルドなどからすると、他の大手飲食企業には戦略がないのだとの主張をされるかもしれませんが、僕の認識はコレです。

既に今まで何度も述べてきましたが、人が店を作り、育て、維持するのは小さくとも大きくとも何も変わる事のない大前提です。

QSCから教えるマニュアルでは人は育ちません!
必ず、従業員にはHから指導しQSCを教えるべきなのです。

ここをすっ飛ばして、マニュアル漬けにした現場の未来など先が知れているのです。

 

なぜ飲食業界では「組織は戦略に従う」を考慮すべきなのか?

「戦略は組織に従う」を考慮すべき理由は、これも既に述べましたが、どんなに優れた戦略でも戦略を実行する組織にその能力がなければ絵に描いたモチになるからです。

例えば、テクニカルスキル偏重型で企業文化を築けば社内に職人が溢れ、お客様との会話を楽しめる社会性から大幅に乖離するでしょう。

しかし、その企業が戦略を大幅に変えてヒューマンスキルを全面に打ち出した接遇型の飲食店に切り替えようとした場合に、それについてこれる職人はどの程度となるのか理解出来ると思います。

このような状態にまで組織を膠着させてしまうと、世の中の大きなシフトチェンジに対応する力をその組織は失い新たな組織を立ち上げて対応するしか資本家からすれば仕方がありません。

現実問題、職人として私たちがイメージするEQの低い人たち、ヒューマンスキルの乏しい人たちが活躍出来るフィールドは現在もこの先の未来も非常に限定的だと言わざる負えませんし、この手の種類の人たちを育てるインセンティブは企業側からするともうありません。

マネジメント側も個々人も自覚すべきは将来に繋がる現在地であるフィールドの先を見据えた働き方を考慮し続けるべきで、今の時代のように大きな社会のルールチェンジが来るであろう時代に将来を見据えた自己研磨を怠った組織、個人は目の前が急に崖となる事態も起こり得るという事です。

AIをExcelのように全ての国民が使い倒すと先の未来が表現される時代になったのにもかかわらず、今現在でExcelさえもまともに使いこなせない人種は絶滅危惧種となるしかないという意味です。

 

経営に生かす組織マネジメントの考え方。

 

戦略にあった組織、または組織にあった戦略で経営的な目的を達成させる場合、組織マネジメントができなければ、ラグビーでいえば、ボールのみを全員が追いかけている状態で戦略を有効に遂行できません。

組織を経営に生かすにはどうすればよいのでしょうか。

戦略が陳腐であれば、どんなに優秀な組織が、どんなに優れた戦術を使っても戦いに負ける可能性は大きい。

優れた戦略は非常に重要です。

しかし、NETの概念である様々なモノがリアル社会に浸透してきた現代においての情報のスケーラビリティは、ある意味残酷でミート戦略等資本の大きな企業に優れた戦略であってもすぐに真似されて陳腐化するリスクがあります。

このよーな時代において、模擬されるリスクを踏まえクリエイティビティを発揮し続け、戦略に応じて組織を興し挑戦するリスクは非常に高い。

このような時代においては戦術を活かせる組織にコミットし、戦術を縦横無尽に動かせるマネジメント陣の戦術眼の方が非常にリアリティがある。

このような背景があり、現在の労働市場でのマネジメント陣の高い能力を求められる時代へと変化してきました。

今現在も、マニュアルに固定化した教育を施す飲食店が今後崩壊すると予想している僕の論拠はこの辺りに起因しています。

 

組織開発と変革のための7Sに照らしてみる

組織は戦略に合わせて、あるいは戦術に合わせて変革をしなければなりません。

このとき、組織の一部だけを見て対症療法的に組織を変えても成功しません。

組織を編成、もしくは再編する際に、僕が参考にしているフレームワークにマッキンゼー社が提唱する7Sモデルがあります。

コレは組織の全体像と要素間の連携を捉えるための有効なフレームワークです。

 

マッキンゼー社が提唱する7Sモデルの「7つのS」とは。

 

1.戦略:競争優位性を維持するための事業の方向性
2.組織:組織の構造
3.システム:人事評価、会計制度などの仕組み
4.価値観:社員全員が持つ会社の価値観
5.スキル:組織の能力
6.人材:社員や経営者など人材の能力
7.スタイル:社風や、組織の文化

 

これらは相互に関係しており、変革を効果的に行うには連携を考慮したマネジメントが必要で、これ等の調整、教育をグロスで操作できるポジションでしか組織開発を実現できません。

既存の組織を改革・再編成する場合、中からしか変える事が出来ないのです。

だからこそ、僕が日頃から言っているよーに外部コンサルティングが活きない時代に突入したと僕が言い切る根拠ともなっているのです。

 

結果にコミットした組織であるために必要な3つの要素

イケてない企業は、戦略策定や組織の変更に多くの時間を割いています。

重要なことだけど、多くの企業でその結果が実を結んでいない現実があり、意味があるのかと。

一般的な議論としては、「戦略が間違っている」「この分野を強化すべき」「売上が足りない」「社員のモチベーションが低い」「組織内や部門間のコミュニケーションが不足している」「営業力が不足している」から、戦略や組織を何とかしようとして行われている事でしょう。

イケていない企業の会議なんてこんなもんです。
くちゃくちゃと経営陣で論拠をこねくり回しても何も意味がない。

これらの無駄な議論に多くの時間を割く前に実行すべきことがあります。

 

答えは簡単です。やるべき事をヤル事です。

1.やるべきことをやってない。
(決めるだけで実際には行われていない)
2.やるべきことをやり続けていない。
(最初だけはやるが、いつのまにか行われなくなっている)
3.やるべきことをやるのが遅い。
(タイミングのあることがタイミングよくやれていない)

 

実は非常に簡単なコトで、本質は『マネジメントで期待理論を活用するだけじゃ飲食店ではモチベを保てない訳。』で明確に示していますが、このような組織論を用いて徹底的に決断してヤル。

 

本当にこれだけなのです。

 

 

マネジメントが先か、ブランディングが先かについてをデザインしよう。まとめ

 

企業が存続し成長していくために必要な戦略と組織についての関係をチャンドラーが提唱した「組織は戦略に従う」と、アンゾフの提唱した「戦略は組織に従う」を含めて話してきました。

現在は、時代の大きなルールチェンジが行われる寸前の過渡期です。
時代をひも解き、結果にコミットするには、リーダーに高度なマネジメント能力が要求される時代です。

現代のリーダーたちは日々、様々な課題に直面し、多くの悩みを持っているのではないでしょうか?

僕のクライアント先でも、多くのリーダから以下のようなお悩みを耳にします。

-部下の成長速度に悩んでいる
-部下とのコミュニケーションのとり方に悩んでいる
-部下をやる気にさせる方法に悩んでいる
-部下への指示の出し方に悩んでいる
-部下の評価の仕方に悩んでいる

 

飲食経営陣の皆さま、問題を後回しにすればするだけ組織の傷は拡がります。
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