マネジメントで期待理論を活用するだけじゃ飲食店ではモチベを保てない訳。

マネジメントで期待理論を活用するだけじゃ飲食店ではモチベを保てない訳。

今回は飲食業界で経営者、幹部社員、店長もしくはその地位を目指す人に向けて記事を書きます。マネジメントを組織に効かせるためにモチベーションをどうコントロールするのかについて考察します。

 

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マネジメントも何も、自分たちの会社がブラック過ぎてマネージャーの立場ではモチベ上げるの無理って考えてる人いるよね?
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また、変なトコに注目しましたね~w マネジメントが効く要因かー! ホント難しいっすよね。
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現実問題さーマネージャーって立場ではマネジメント駆使してモチベをブチ上げるのは無理なんだけど、原因はブラックだからどうのって問題なんかじゃないんだよ。
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んーでも安月給で長時間で働かせれたら誰でもモチベ保てないですよね? それじゃー何が原因でマネジメントが効く組織を作れるんですか?
結論を先に言えば、オペレーションだね! まー詳しく話していこー。

 


マネジメントに欠かすことが出来ないモチベUPに期待理論を活用する方法。

ビクター・ブルームが最初に提唱したモチベーション理論のひとつで、合理的な人にとって、「それをすることで得られる結果への期待値」と、「その行為によって得られる報酬の魅力」によってモチベーションが決まるというものです。

例えば、「このテストを頑張れば会社に認められ昇級に繋がるかも」という期待と、「テストに合格すれば昇給できる」という報酬がモチベーションを高めるということです。

「頑張っても試験に合格できる確率は低い」
「試験に合格しても昇進できるかどうかわからない
(あるいは昇進しても従業員へのメリットが少ない)」

といった場合、モチベーションは低下してしまうのです。

これを、L.W.ポーターとE.E.ローラーがさらに系統立てて、現在の期待理論が出来上がりました。

 

 

それでは、ポーター&ローラーによって修正の加えられた期待理論について説明していきます。

ポーター&ローラーの考えた期待理論では、モチベーションの強さは、「期待(可能性)」「誘意性(欲求の強さ)」で表されます。

例えば、

「一流ホテルの料理長になりたい」
「将来は国際的な弁護士になりたい」

という強い欲求(誘意性が高い)があったとしても、「挑戦しても絶対に無理だ」と思い込んでいたら期待(可能性)はゼロなので、モチベーションの強さもゼロとなり、そのような行動は起こさないということになります。

 

逆に、簡単に

「中小企業診断士を合格できる」や
「コンサルタント会社に就職しやすい」

ことが分かっていたとしても(期待(可能性)は高い)でも、希望しているコトでなければ誘意性はかなり小さくなるため、そのような行動のモチベーションも低くなります。

 

このよーに、実際の企業組織内では、役割・昇進・休暇・友人・自己実現など従業員が高い誘意性を感じているものと、役割遂行能力を結びつけることによってやる気を喚起しています。

 

モチベーションの維持が企業組織の質やサービスに対して与える影響について見ていきましょう。

 

企業組織においては、前述したようなモチベーション理論を活用して、メンバーのモチベーションの向上・維持に努めます。

組織メンバーのモチベーションが高まれば、仕事の質やサービスが高まり、その結果として職務の「生産性向上」や「効率化」につながります。

個々のメンバーの生産性向上が組織全体のパフォーマンス向上につながり、最終的には「従業員満足」や「顧客満足」の向上につながると考えられています。

「従業員満足」や「顧客満足」の向上がメンバーのさらなるモチベーション向上につながり、「好循環のサイクル」が生まれることになります。

言うまでもなく、個々のメンバーのモチベーションが低ければ職務の「質」「サービス」は低く、生産性も向上しないため、組織としてのパフォーマンスも低いままとなり、組織全体のパフォーマンス低下は、顧客満足にも影響を及ぼします。

つまり、企業組織全体でのパフォーマンス向上を実現するためには、個々におけるモチベーションを高めなければならないということです。

一方で、同じ職場内の「顧客」(上司・同僚・隣の部署等)を満足させることも、組織全体の「質」「サービス」を向上させ、結果的に顧客へのサービスの質を高めることにつながり、顧客満足向上につながることも忘れてはいけません。

 

■ マネジメントに期待理論だけを活用しても組織改革が出来ない。

 

飲食企業にとって、人の欲求を活用して内発的な組織改革を実行する動力を当然活用すべきだが、同時に組織に蔓延る悪循環を一旦リセットする仕組みづくりが非常に大切であり、こちらの方がよっぽど優先すべき事項である。

本来、経営コンサルタントが経営陣の中から順番に下に向かってリストラの提案をすべきで、組織改革に着手し辛い部分がコレにあたる。

そして、コレが現時点で経営コンサルタントを活用する優位性がないと僕が発信する所以である。

組織の資産である人・金・モノ・時間・情報について、円滑に資産が内部巡回し難い要因は人を中心に起きているのです。

 

 

 

組織改革の効率的なマインドセット

筆者が飲食企業にご提案する内容は、
・年功序列・終身雇用を行えない事を社内で宣言する。
・年功序列・終身雇用を何故続けられないのかの講習を定期的に実施する。
・能力の足りない人材の降格を例外を作らず、実施する。
・降格する先はその当該社員が一番力を発揮できる地位まで下げる。
・教育制度を社内で立ち上げ、広く人材を育てる仕組みを構築する。
・教育とは業界知識・生活知識・社会的知識・お金についてである。
・能力テスト・認定制度を導入してテストによる昇給・昇格を実施する。
・様々な小さなプロジェクトを横軸で実施できる環境整備をする。

 

 

などを同時に行うことにより、今後飲食業界を襲うであろう激震に備え、確実なゴーイングコンサーンを掴み取る生き残る企業として、停滞ではなく成長を実現するマインドセットを構築する必要があります。

 

より具体的に、トップマネジメントを掘り下げた『飲食経営をハックするトップマネジメントとは。7選』でも書かせて頂いているのですが、新たな時代で飲食経営の競争市場を上手に泳ぐきるにはマネジメントがより効くオペレーション強化が大切になってきます。

 

早期に社内オペレーションを整備すべし。

 

 

人材の実力主義の活用は、外部への流出を防ぐだけでなく、より社内人材の切磋琢磨を誘引す、外部から人を誘致しやすい環境を生み出す。

現在は、企業であっても共感経済の中で人材確保に奔走させられており、報酬の同業他社との圧倒的な差は他社を圧倒する要因になり得る。

また、その様な文化(オペレーション)の構築は、より競争力を生み出し、イントレプレナー育成により飲食業界の利益に対する概念自体を覆せる機会を得る事にもつながる。

 

 

内部環境だけで改革出来ない要因は外部に頼るべき。

 

 

士業として飲食業界に関わる方たちにも警鐘を鳴らします。

 

経営者がコレらを自らが率先して行うには非常にタフな改革となるでしょう。

自分が一旦認めた幹部の棚卸は付き合ってきた期間も影響して判断を見誤る可能性だって否定できません。

 

 

そして、士業として飲食企業と関りをもつ先生がたも、経営者側からその企業に視線を落としてコンサルティングしていると将来大切な取引先を失い続けるループから逃れる事が出来ません。

 

 

数字に表れていないところに意外に本質があるものなのです。

 

 

 

ピーターの法則からの脱却の難しさ。

 

 

ピーターの法則が示す通り、自分の能力の限界値まで出世した飲食店企業の幹部は高度成長期以降ずっと席数を増やす競争を盲目的に奔走して来ました。

 

しかし、その為に犠牲にしてきた社内オペレーションの強化、ケイパビリティの放棄によって肥大化してしまった組織を改革するコストは非常にデカい。

飲食業界を良く知る僕などからすると、これまでの大手飲食企業の成長動力を担ってきた幹部たちは大変罪深いと思っている。

そんな盲目的な競争原理の中で飲食関係者として数十年来過ごしてきた人たちからすると、2019年を境に社会の大きなルールチェンジにより自分たちが苦境に陥る可能性が出てきた事に、なんで今更・・・的な気分になるのも理解できる。

老害化してしまった自らを省みるコストも個々において深刻なのである。

 

そして、効率化を図ってきた為に本来の技術の研磨さえも、時代と共に置き去りにしてきてしまっている。

 

 

手工業のような手から機械に移ってきた時代の変化には機械に当時再現性がない技術が多々あり、ミリ単位での細やかな作業を機械は出来ず、細々とだが職人は現在でも手工業に残っている。

 

 

現在のくつ職人などは代表的な例だ。

 

 

とはいえ、飲食チェーンで働く人たちの何割がそういった稀少性の高い地位を確立できるのだろうか?

 

 

僕は、大手飲食チェーン出身者からは皆無ではないかと思っている。

 

 

席数を増やす為だけの過当競争と、効率化を図ってきた飲食チェーンには随分早くから個人技としての職人技術を磨き上げてきた料理のプロがいない。

 

 

しかし、チェーン店の厨房で効率的な調理をする作業に誇りを持ち、閉鎖的な世界観の中で上下関係を作り、技術の継承という幻想を若い人たちに抱かせてきた。

 

 

若い人たちの無駄な時間を、ロスさせる事で組織を長く維持してきた飲食企業と同様にこのカラクリを維持してきたニセ職人たちは共犯者である。

 

 

そして、職人としての能力をプロと誇れるほど高めてこなくとも職業として喰える調理人は、生活の為に毎日作業としか呼べないレベルの調理を続けてきた。

 

 

勿論、そんな日常を過ごして、ある程度満足できる給料を得てきた調理人は他に勉強する動機を得ず、社会人の中でも自堕落な生き方をする代表格でした。

 

 

当然、人をまとめる地位に立ち、マッチョ主義で根性論を唱えて狭い世界観の中で通用すればよかったのだから。

 

大幅に自分自身を見直す動機を得てこなかったのです。

 

 

このような40代、50代が多く働く業界である。

 

 

今から自分たちを改めなさいと言って誰が改めれるのだろうか?

 

 

非常に世の中の変化に疎い人たちである。

 

 

 

とはいえ、成長せずに変化を嫌い、現状維持のまま数十年過ごしてきた上司たちが牽引する組織では、組織改革を達成した競合他社とは競争にもならない。

 

 

将来、ただただ市場から駆逐されるのを待つだけだ。

 

 

経営者やコンサルタントのちょっとした糸の掛け違いが組織を危うくしかねないのである。

 

 

大手飲食チェーンは今、難しいターンと決断する時期が迫っている。

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